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Polymer Functionalization Laboratory in NUT

生物機能工学演習2日目 ー分子力場計算ー

生物機能工学演習2日目 ー分子力場計算ー

分子力場計算では,原子を球,結合をバネに置き換え,生体分子の様な多原子系の安定構造を計算する.用いるパラメータは,低分子の実験や量子化学計算の結果を再現するように決める.炭化水素やその誘導体について作成されたMM2, MM3,たんぱく質や核酸用に作られた CHARMm,Amberなどが代表的である.

Tinker(http://dasher.wustl.edu/tinker/)は,これらの分子力場を用いた安定構造の評価や,コンピュータ内で「実際に」分子運動させてその様子を調べる分子動力学計算が可能な無償のソフトウェアである.本演習ではTinkerを用いて,力場はMM3で計算を行う.

また,WebMO(http://www.webmo.net/)は,WWW上で分子を組み立て,分子力場計算や,量子化学計算を行なうことができるフロントエンドである(GAMESS, Gaussian 94/98/03, MolPro 2002/2006, Mopac 7/93/200X, NWChem 4/5, QChem 2/3, and Tinker 4に対応).本実験で用いているバージョンは無償のものであるが,分子軌道を描いたり,他のサーバーにジョブを投入することが出来るPro版も存在する.

WWWアプリケーション時代を迎えて,本実験では,WebMOをインターフェースとした分子力場計算の演習を行う.

※量子化学計算のフロントエンドとしては,国産のWinmostar(http://winmostar.com/)をお勧めする.エチレンのπ結合を簡単に記述することが出来る.上記ホームページから学生は無償でダウンロード出来るので,興味のある方は試して欲しい.

1)ログイン

ceas内のリンクをクリック.学外からも一応アクセス出来るが,WebMOのレスポンスが一定しないので出来るだけ学内からの利用を薦める.ログイン名とパスワードは指示に従って下さい.

 

2)新しいジョブの開始

WebMO Job Managerにて,「New Job」→「Create New Job」を選択

「このアプリケーションを実行しますか?」と聞いてくるが,「実行」をクリック.Build Molecules画面が表示される.

3)ブタンのトランス形の組み立て

「Build」ボタン(下図のマウスポインタが指しているボタン)をクリック.

クリックとドラッグを繰り返すと,ブタンの骨格となる炭素鎖が描かれる.

「スパナ」ボタンをクリックすると,水素が付加される.


ここまでの作業は動画でも見ることが出来ます.


4)計算し,ジョブを見る

右矢印(「Continue」ボタン)をクリックする.「セキュリティ警告」が出た場合は.「許可する」をクリックする.「Molecule is nearly…」というダイアログメッセージが表示されるがそのまま「OK」をクリックする.

 

Choose Computation EngineはTinkerを選択し、右矢印(「Continue」ボタン)をクリックする.

「Calculation」→「Geometry Optimization」を選択

Force Fieldは初期設定(MM3)のままでよい.Job Nameは,そのままでもよいが,分かり易い名前(英数字)にすると後で整理し易い.右矢印(Continue)をクリック. 計算が始まる.

 

Job Managerに戻る.StatusがCompleteになっていれば,計算終了.

Actionsの虫眼鏡ツールをクリックすると,計算結果を見ることが出来る.エネルギー極小化により得られた安定構造が表示される.Calculated QuantitiesのTotal Potential Energyが得られたコンホメーションエネルギーである.この値をメモすること.

5)ブタンのゴーシュ形の組み立て

計算結果を表示し,「New Job Using This Geometry」をクリックする.

矢印アイコンをクリックしてから,片末端の炭素をクリックし,さらに残り3つの炭素原子を順にshiftキーを押しながら選択する(僅かに炭素の色が変わる)と現在の二面角がWindowの下部に表示される.

4つの原子がつながった形のアイコン(「Adjust Dihedral Angle」アイコン)をクリックする.「Adjust Dihedral Angle」ウインドウに60と入力し,Applyボタンをクリック.

 

ゴーシュ形になる.

 

ゴーシュ形の作成の動画

以降、4)の手順で計算し、ゴーシュ形のエネルギーを求める。

 

6)分子の画像を保存する(トランス形とゴーシュ形の両方.図はゴーシュ形の例)

File→Save Imageを選択して,PNGを選択しファイル名を付けて保存する.この時,分子構造をあらかじめView→Zoomで拡大(ドラッグまたはマウスのホイール)しておくと,見栄えがよくなる. 保存したファイルはワープロ文書に貼り付けることが出来る.

 

7)二面角の読み取り

「View Job」ウインドウで一つ目の炭素をまずクリックし,次いでシフトキーを押したまま順に残り3つの炭素原子をシフトキーを押しながらクリックする.主鎖2面角がウインドウ下部に表示される.


第2日目 課題(必ず行なうこと)

2-1.テキストに従って,ブタンのトランス形とゴーシュ形の安定構造を計算し,得られた形を図示せよ.また,二面角(4つの炭素C-C-C-Cの)を調べ,ゴーシュ形で60゜からどの程度ずれているか調べよ.さらに計算で得られたコンホメーションエネルギーから,「有機化学」パワーポイントに従って,トランス形とゴーシュ形の室温(25℃とする)における,コンホメーション分率を求めよ.分子力場計算プログラムではエネルギーの単位がkJ mol-1ではなく,kcal mol-1が使われることが多いことに注意すること

 

発展的課題(必須とはしない)

2-2.メチルシクロヘキサン(シクロヘキサンの水素の一つがメチル基で置換された構造)を組み立て,分子力場計算を行なえ.組み立て方の動画はceasにリンクがある.アキシャル形とエクアトリアル形のどちらがどれだけ安定か,コンホメーション分率を計算して示せ.その理由を考察せよ.(メチル基の水素と隣接する原子の原子間距離を測っておくとよい)(原子の一つをクリックし,shiftキーを押しながら,もう一つの原子をクリックすると距離が表示される).

また,アキシャル形,エクアトリアル形が分からない人は,私の講義の「有機化学」のパワーポイントWeb版を読むこと(CEASにリンクが張ってある)

メチルシクロヘキサン作成の動画

2-3.α-D-グルコピラノースとβ-D-グルコピラノースでは,どちらが安定か.その理由を述べよ

※以上を,第1日目と同様,Word文書でレポート作成すること.